5.横浜ランドマークタワービル建設に貢献できた喜び

横浜ランドマークタワービル
 横浜ランドマークタワービル、それは、小社が施工担当した記念すべき超大型石工事です。

 昔から横浜と言えば、「港・中華街」が合言葉でありましたが、今では「ランドマークタワービル」が仲間入りして、横浜の代名詞となっています。

 年間365日を通じ、朝はサラリーマンの出勤に、日中から夕刻、夜間は観光客、ショッピング客、若いカップルと動く歩道は休む時間もなく、大勢のお客様を運んでいます。一日当りの来客数と食事・ショッピング等々で落とすお金や、その経済効果は計り知れないほど大きいものと推測されます。同時にこのビルはわが国の建築技術のレベルの高さも知ることが出来るのです。

 構造上は柔構造で地震に対する耐震構造であり、超高層ビル用高速エレベータは1分間に560mで上下降する。そして、そのエレベータの揺れはほとんど感じられない。実験でエレベータの籠の床に、立てた状態で置いたコインがほとんど動かず、静止したまま微動だにしないハイレベルの技術。日本初見参のらせん状エスカレータ等等。ランドマークタワービルへ行くと濃縮された建築技術を見ることのできる「現代建築技術博物館」であると言っても過言ではないと思います。

 石工事についても外装石工事はPC先付け工法でGPC工法(PC工場でコンクリート板を作る時、石を同時に打ち込む工法) 立上り壁・柱等の石工事は乾式工法(ステンレス石引金物で石を躯体にセットし、モルタルを使わない工法)床石の仕上げはJETバーナー仕上げ、ノンスリップのための溝入れ加工等が施されているのです。

 このランドマークタワービル建設工事に小社が貢献できたことに、私は、誇りと感謝の念を今でも抱いているのです。

 バブル経済が崩壊し、次第に不況感が浸透し始めた頃(平成4年頃)、ランドマークタワービル工事も最終仕上げ段階に入っていました。

 ある雨模様の日、私は打ち合わせのため工事現場へ向かいました。JR桜木町駅からMM21地区(工事現場の地名)へ歩きながら、上空を見上げると、空全体が雨雲で覆われていて、ドンヨリとし、あたり一面、薄暗い感じでした。工事中のランドマークタワービルの全貌最上階72階は雲の中にあり、せいぜい20階~25階位までしか見る事が出来ませんでした。いかに日本一の高さを誇る超高層ビル(高さ273m)であるということが、身体にヒシヒシと感じてくるのをはっきりと覚えています。

 JV(共同企業体)所長さんから石工事業者7社の選定説明と工区割りの見積条件等の説明会に出席し、その説明を聞いたとき、その規模の大きさを改めて実感させられました。

 JR桜木町駅から動く歩道に乗ると、終点がランドマークタワービルの3階玄関とドッキングしています。小社の担当工区はその3階玄関アプローチの床石張り約3,000㎡と丸柱300㎡(20本)、それに、高層オフィス階7階~49階までのエレベータホール床、男女トイレ床、湯沸し室床の約4,200㎡でありました。1工事でこれほどまでの規模(数量、金額)のものは、社歴40年間を通して初めてであり、大いに緊張しました。

 いかに大型工事であっても、適材適所の人選とチームワークがあれば、不可能はないという信念があり、総責任者に長男を選び、以下設計担当、工事担当、施工担当(石工職人)というプロジェクトを結成し、スタートさせました。

 製品製作には小社工場と協力工場がそれぞれ担当し、ミリ単位の精度の製品加工をしました。工場には緊張感と活気が漲(みなぎる)っていました。幸いJVの施工図担当、工事施工担当者の段取りが良く、打ち合わせもスムーズに運び、超大型石工事であったにも関わらず、施工に入ってからは何ら問題も発生せず、順調に工程表通りの工事を進行させることができました。

 3階の玄関アプローチ床の石張りは30日(1日約100㎡)、丸柱(乾式方法)は25日(1日約12㎡)で完了したことに120%の安堵感と満足感を覚えたことは、今現在も鮮明に記憶しています。

 高層オフィス階の床工事はフロアー数が43フロアーにわたっている関係上、搬入エレベータまでの持ち込み時間に指定があり、各フロアー毎に持ち込み時間が変わるので、その時間調整に大変苦労もしました。超高層ビルゆえの初めての体験でした。

 これだけの超大型石工事を何の問題もなくスムーズに完工できた事は、わが社の誇りであり、大変な自信と信頼を得ることが出来ました。そのため、その後の石工事施工依頼時には、「ホー、ランドマークタワービル建設に参加されたのですか」と聞かれ、それだけで信頼されました。振り返って、この工事の成功の秘訣は何かと考えてみると、

   ① 日々の真面目なスタッフの努力
   ② スタッフ同士の円滑な人間関係とチームワーク
   ③ 関係会社・協力会社との信頼関係

 によるものと実感しています。

 このページを通じて改めてJVの関係者ご一同様と小社担当諸氏に厚く御礼申し上げます。
 今後益々技術力を高め、「品質第一」のモットーを貫いてまいりますので、ご指導のほどよろしくお願いします。

古今東西 丸西テクノストーン株式会社