3.こだわりのジェットバーナー仕上げ

(ジェットバーナー仕上げ)
 皆さんは石材に使われているこの仕上げ方法をご存知であろうか。我が社が誇る“滑らないため”に考案した石材の仕上げ方法のことである。

 私は12月あるいは1月、すなわち、受験の時期になるといつもこの仕上げ方法のことを思い出す。

 最後の追い込みに入り、深夜まで必勝の鉢巻をして受験勉強に精を出す受験生。そして、最後は神頼みとなり、菅原道真様や孔子様に合格願いをし、絵馬に願い事を書き記し、神木に吊るし、運とつきを願う。親御様も同様、あるいは、それ以上に受験生である我が子に応援を惜しまない協力ぶりは、傍で見ていても頭の下がる思いがする。

 実は今から35~40年前、代々木ゼミナールの本校ビルの新築工事があった。その工事の石材に我が社の石材が選ばれたのである。本校ビルのフロアーや階段に我が社の石材がびっしり敷かれるのである。我が社にとって、この工事の規模は大変大きいものであった。

 代々木ゼミナールといえば、札幌から福岡に至るまで数十校舎を擁する巨大な予備校である。本校で採用されれば、他の校舎の新築、改築にも我が社が選ばれる可能性は大。そんなことを考えながら臨んだ仕事であった。

 ところが、代々木ゼミナールから予想もつかない難問が出されたのである。
 「我が校には多くの受験生が来ている。その受験生が一人でも滑って転ぶようなことがあったら一大事。決して、滑らない石材にして欲しい。」
こう言われて私は頭を抱え込んでしまった。石材は滑るのが当たり前。滑らない石材の方がおかしいほどである。

 しかし、当時の私は若かったこともあり、全て前向きに考えた。これは面白い課題だと。
 この手法を確立すれば、他社に一歩も二歩も先んずることが出来ると。

 私は図書館で色々調べた。また、多くの専門家を訪ね、相談もしてみた。当然、実験もした。期限のあることゆえ、徹夜仕事が続いた。そんな苦労の末に確立した手法がジェットバーナー仕上げであった。

 この手法で仕上げた石材を代々木ゼミナールに持ち込んだ時には、代々木ゼミナールの理事長、工事監理及びゼネコンの所長他多くの人々が大変喜んでくれた。この時こそ、石屋冥利に尽きたことはなかった。

 この時の評価で、その後、地方の校舎の新築や改築にお声がかかるようになったのである。

 代々木ゼミナールの“滑らない石”は今も多くの受験生を守っているのである。大学受験生諸君の希望大学合格をお祈りする。

(この時期を振り返って)
古今東西 丸西テクノストーン株式会社